2003年の七夕の夜
正直 その夜の事は記憶していない
とーたんが走り回っていた土地ではあまり七夕という雰囲気はなかった記憶
ただでさえイッパイイッパイだったとーたん
何を目標にしていたのか・・ 家族が第一であった筈なのにと今更ながら思う・・
30年近く前
師でありお兄ちゃん的存在の人が目の前で死んだ
いや とーたんの膝の上で死んだといってよいだろう
苦しそうに 苦しそうに・・
生きる者の本能 必死で生きようとしていた・・
月明かりだったか 街路灯だったのか
血が光り照らされる事で口から溢れそうになっている事が解る
その度軽く頭を斜めにし血を流させる・・
それでも呼吸が苦しそうだったら仕事仲間が必死でホースやストローを集め口で吸い出す・・・
しだいに減る呼吸・・
呼吸がとまったり 暫く経って一回呼吸をしようとしたり・・
サイレンは聞こえど全く近づく気配がなかった長い時間
とーたんはただその人を頭を膝の上にのせているだけだった
祈るだけだった いや 目の前の現実がありながらも嘘であると思いたかった・・・
現場処理の後、遅れて病院へ駆けつけた
救急入り口付近で呼ばれた
「泣くなよ・・」
その瞬間 腰が抜けた・・
診断結果は即死だった・・
いや たしかに呼吸をしていた・・
生きようとしていた・・・
声も出ぬ泪が滝のように流れた・・
「もう好きなだけ泣け・・」
後に師となるその方に抱きかかえられ啼いた・・・
仮通夜 お通夜 お葬式 住宅街は七夕飾りが飾られていた・・
双子の子どもがいた ゲンキくんとヒロミちゃん
まだ保育園生だった・・
スキップしては うごかぬ父の顔を覗き見て
「パパは???」
ご家族を事故現場に連れて行った
その時も子どもたちはダンスをしていた・・
とーたんは役目がなかったのに 誘われたのに 子どもたちと一緒に遊べなかった。。。
当時のお師匠に呼ばれる
どうする? この仕事を続けられるか?
続けると言った
仕事バカだったとーたんに遅い夢の季節かやってきた
家族を持てたとき辞めることにした
なんの迷いも無かった
2003年 七夕へ向かい
何故とーたんは紗礼さんの傍に居なかったんだろう・・